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AUDI SUV
2022.09.17

Vol.14 【アウディ Q4 40 e-tron Sライン(ヨーロッパ仕様車)】

Vol.14 【アウディ Q4 40 e-tron Sライン(ヨーロッパ仕様車)】

世界的にどんどん増えている「電気自動車」だが、今回はアウディの電気自動車「Q4 e-tron」を取り上げる。ただ、正式導入は秋ごろになるため、今回試乗するのはヨーロッパ仕様車である。

正式導入前に先行試乗!グッと身近な存在になったBEV

今年の2月に「ロードショー」という形でお披露目された「アウディ Q4 e-tron」。この時にもGo!Carチャンネルで使い勝手や詳細をお届けしたが、まだ試乗することができなかった。それから7カ月。今回も前回と同じヨーロッパ仕様車ではあるが、日本の公道で試乗することができたので、早速レポートしたい。

こちらは2022年2月に行われたロードショーで公開されたときの写真。

ご覧の通り、珍しい左ハンドル。これは今回試乗するのがヨーロッパ仕様であり、実際に日本に正式導入されるクルマは右ハンドルだ。

全長×全幅×全高 (mm)=4,590×1,865×1,630である。SUVの中では全幅も1,850mmを少し超えたところ、全長は4,700mm以下ということで扱いやすいサイズ感の1台である。

今回試乗したのは「Q4 e-tron」、オーソドックスで実用性に重きを置いたSUVタイプであるが、アウディお得意の「Q4スポーツバック」も用意される。クーペライクなデザインが採用される。

ボディサイズはそのネーミングが表している通り「Q3」と「Q5」の間にちょうど位置するサイズ感で、やや幅が広いが、日本でもなんとか使いやすいサイズ感の1台といえるだろう。また、もう一つ珍しいのはアウディといえば、おなじみ「クワトロ=4輪駆動」か、2輪駆動であっても「前輪駆動」を採用してきたが、今回の「Q4 e-tron」はクワトロの用意がなく、2輪駆動でも「後輪駆動」を採用している点が、新鮮である。

バッテリー容量は82kWhで、WLTCモードでの航続可能距離は576kmと公表されている。

シフトセレクターはこれまでにあまり見なかったような形状だが、扱いやすい。前にセレクトすれば、リバース、手前にセレクトすればDレンジに入る。PボタンはPレンジとパーキングブレーキを兼用している。

では早速試乗を始めよう。シートに着座して、ブレーキを踏むと電源が入り、従来のエンジン車のような「エンジンスタートボタン」を押さなくても、シートベルトをして、シフトを操作すれば走り始めることができる。

電気自動車なので、やはり「グリル」といっても、穴は開いていない。

今回試乗するクルマは「Sライン」というスポーティなグレードに加え、ホイールが21インチという大径ホイールを履いている。前輪は235/45-21、後輪は駆動輪ということもあり、さらに太くて255/40-21というタイヤ&ホイールを装着していた。これは日本に導入されるものよりも大きなホイールを履いているため、乗り味に関しては日本仕様とは異なる部分があるだろう。日本仕様では「アドバンスド」で19インチ、「Sライン」でも20インチのホイールが装着される。

実際に走ってみても、特に低速域においては足回りで路面の凹凸を吸収し切れていない場面があった。割と大きな段差を超えるときには問題にはならなかったが、細かい微小突起を超えたりしていると、少しサスペンションがバタつくフィーリングが感じられた。

しかし、一方で長距離も可能な電気自動車ということで、バッテリー容量も82kWhを誇り、そのせいもあって車両重量は2tを超える。その車両重量からも乗り味にどっしり感が感じられるのは、電気自動車らしいところである。

今回のヨーロッパ仕様車のSラインには21インチのホイールが装着されていた。その影響もあってか、乗り味がややゴツゴツしたフィーリングが感じられた。よく言えばスポーティだが、もう少ししなやかな味の方がより快適に乗れるだろう。

すでに、アウディでは電気自動車として「e-tron」や「e-tron GT」といったモデルが導入されているが、サイズはかなり大きく、大きなパワーを持たせて、価格もかなり高い印象の電気自動車だったため、なじみが薄かったというのが個人的な印象であった。しかし、今回の「Q4 e-tron」は日本でも扱いやすいサイズで、アウディの電気自動車ということを考えるとなかなか魅力的に感じられる価格設定である。

電気自動車はパワーユニット自身が静かなため、どうしてもほかの音が気になることがある。しかし、街中で走っている分にはロードノイズも気にならなかった。音の静かさという点ではアウディはもともとアドバンテージの大きいメーカーであるから、このQ4 e-tronでもそれが受け継がれていることがよくわかる。ブレーキを踏んだ際に、回生ブレーキの音で「ヒュー」という音が本来はもっと聞こえるクルマがあるが、この車はその点においてもよく抑えられていた。

そして、やはり街中を走るということに関しては、BEVの性格は極めてマッチしている。音は静か、0回転から最大トルクを発揮しながら、シームレスな加速をするという走行フィールは、BEVのすべてに言えることだが、改めてこの車に乗っても、街乗りに最適という印象を強く感じた。

スラントノーズではあるが、着座点が高く、なんとかボンネットは見えるため、ボディの車両感覚がつかみにくいということはなさそう。また、日本仕様はサラウンドビューカメラが採用される。

アウディのシートで魅力的なのは座面幅(お尻が収まる範囲)の広さ。実測値で320mmほどあった。筆者の経験上300mm以上あるシートはかなりゆったり感がある。

電気自動車というと、「加速がすごい」「速い」というイメージが先行している印象があるが、実際に毎日使う自動車としてそのポイントが重要かというと実際はそうではない。そういう点から見れば、「Q4 e-tron」の最高出力は150kW(204PS)、最大トルクは310Nmという数値で、極めてバランスのいい走り味だった。もちろん、電気モーターなのでシームレスに加速していく気持ちよさは持ち合わせている。

ステアリングにはパドルシフトが装備されており、「回生レベル」を4段で切り替えることができるのも嬉しいポイントだ。内燃機関車のエンジンブレーキを利かせるのと同じ印象で、減速できる。

六角形のような形状をしたステアリング。見た目よりは普通に操作できる。

またステアリングが変わった形状をしているが、街の交差点でステアした際も特に扱いに妙な感じがすることもなかった。

今回は短い距離ながらの試乗であったが、電気モーターのハイパワー競争のような部分も見受けられる中で、ちょうどいいパワー感とトルク感、サイズ感が魅力的と感じた「Q4 e-tron」であった。ぜひ、日本仕様が入ってきたらじっくり走らせてみたい。

センターディスプレイは他のアウディと同様。なお、エアコン操作は物理スイッチが用意されている点が嬉しい。

今回はヨーロッパ仕様だったため、日本語表記ではなかったが必要な情報がいろいろと表示されるのは嬉しい。

デイライトの点灯デザインを選ぶことができる。

バーチャルコクピットのメーターのデザインは切り替えることができる。

トランクルームも実用的で扱いやすい。

後席を倒せば、広大な荷室空間が現れる。

美しいデザインもアウディの魅力である。

ショールーム一覧はこちら

アウディ Q4 40 e-tron Sライン(ヨーロッパ仕様車)主要スペック

<寸法・重量>
全長…4,590mm
全幅…1,865mm
全高…1,630mm
ホイールベース…2,765mm
車両重量…2,100kg

<原動機>
種類…交流同期電動機
定格出力…70kW
最高出力…150kW(204PS)
最大トルク…310Nm

<駆動用バッテリー>
種類…リチウム・イオン電池
総電圧…352V
総電力量…82kWh
交流電力量消費率(WLTCモード)…150Wh/km

<駆動方式・一充電走行距離>
駆動方式…RWD(後輪駆動)
一充電走行距離(WLTCモード)…576km

Writer

Gocar Gocar

Go!Carチャンネルのキャスター。2015年ホワイトハウス入社。2016年3月からGo!Carチャンネルをお送りしているが、免許取得後すぐ各種試乗インプレッションを行っており、これまでに試乗した車種は500車種を超える。毎週日曜日16:00からは「Go!Carライブ」をGo!Carチャンネルにてお送りしており、視聴者の皆さんとのふれあいを毎週楽しんで放送している。
また、2022年4月より、レディオキューブFM三重(78.9MHz)にて、「Ericar・Gocar Auto Ensemble♪」というラジオ番組のパーソナリティも務めている。

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