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HYUNDAI ステーションワゴンSUV
2022.11.25

Vol.18【ヒョンデ アイオニック5 ボヤージュ】

Vol.18【ヒョンデ アイオニック5 ボヤージュ】

前回のVol.17では上級グレードのAWDモデル「ラウンジ」を取り上げたが、今回は2輪駆動の中間グレード「ボヤージュ」を取り上げる。

前回のVol.17でご紹介した「ヒョンデ アイオニック5 ラウンジ AWD」。装備の充実度合いと、電気自動車として不安要素である部分を払しょくしようとしている努力がよく見られるクルマで、なかなか魅力的に感じた部分が多かったが、20インチのホイールで、少し乗り味に硬さを感じること、ハイパワーであり、重量もあるために、航続可能距離が短くなっていて、電費も落ちてしまうということで、個人的には2輪駆動のモデルが気になっていた。今回は「ボヤージュ」という中間グレードのクルマでレポートを進める。

前回取り上げた「ラウンジ AWD」と大きな違いはホイールのインチが違うところ。なお、装備が充実したラウンジでも2WDは「ボヤージュ」と同じ19インチホイールが装着される。

未来的なデザインの19インチアルミホイール。タイヤは20インチと同じミシュラン製ではあるが、こちらは「プライマシー4」が装着される。

最初にラウンジから乗り換えて、装備で大きな違いとして気づいたのは「ヘッドアップディスプレイ」が装備されないことだ。ただ、通常のメーター位置に液晶ディスプレイがあるため、大きな問題はないが、視線移動を少なくするという点からすると、ヘッドアップディスプレイの魅力もあるので、そういう方は「ラウンジ」を選んだ方がいいだろう。ラウンジにも2WDが用意され、このボヤージュと同じホイールが装着される。

細かく見ていくと、装備の違いはもちろんあるが、さほど大きな不満になるような装備の削減はないような印象だ。

一番、個人的に注目していたホイールの違い、ラウンジAWDでは20インチ、ボヤージュやラウンジの2WDでは19インチが装着され、乗り味にどれほど違いがあるのか?というところだが、結論から言えばほとんど大きくは変わらない印象だった。厳密に見れば、19インチが多少マイルドかな…?という程度で、大きなフィーリングの違いはなかったように感じた。乗り味に関しては大きな不満が出るほどではないが、もう少し洗練度を増して、より快適に感じられる乗り味になればうれしいと感じる。

満充電(100%)からスタートして、66kmほど走行した際に

ラウンジAWDは86%に

ボヤージュ(2WD)は88%に

減っていた。やはり乗り比べてみれば、2WDモデルの方が電力消費は少なかったようだが、AWDともっと差が出るのかと思いきや、意外とそこまで大きな差が出なかったのは意外であった。

未来的な印象のインテリアはアイオニック5の特徴である。

i-ペダルと呼ばれる、アクセルペダルのON/OFFで加速・減速が可能なモードにした際に、アクセルOFF時に制動するわけだが、その際にブレーキランプが点灯するかの確認をした。やはり、これは予想通りブレーキランプが点灯したので、後続車に減速の意思を伝えられている。ただ、一旦停止後はブレーキランプが消えてしまう。これはぜひ改良してもらいたく、停止状態の時もブレーキランプを点灯し続けてもらわないと、後続車はそろそろ発進するのかと減速を緩めてしまう恐れがある。現時点でその対処法としては、停止後はブレーキペダルを踏むことだ。もし、オートホールド機能をONにしておけば、停止後にブレーキペダルを一旦踏んで、その後放してもブレーキランプはつき続ける。

しかし、やはりワンペダルで停止後にもブレーキランプが点灯し続けるようなプログラミングになったほうがいいだろう。

i-PEDALという、ワンペダル走法で減速をした際に、ブレーキランプは点灯するが、一旦停止するとブレーキランプが消えてしまう。ぜひ、停止中はブレーキランプが点灯し続けるような設定にしてほしい。

高速道路での走行フィールだが、加速感はAWDと比較しても大きな不満はない。ラウンジの方にはEV専用タイヤでよりロードノイズを抑えるタイヤを履いていたそうだが(ミシュラン・パイロットスポーツEV)、ボヤージュのタイヤ(ミシュラン・プライマシー4)でもロードノイズには大きな不満を感じなかった。

シートはラウンジには本革シートが採用されていて、ボヤージュには人工皮革が採用されている。確かに、比較をすると本革シートの方がソフトであるが、ボヤージュの方だけ見てしまうと、本革なのか人工皮革なのかわからないほどの出来である。こちらにもヒーターのみならず、ベンチレーションも装着されていて、快適性を向上させている。

シート素材には人工皮革が採用されている。

運転支援システム(ADAS)もボヤージュもラウンジと変わらない充実度合いだが、しばらく乗っていると「レーンキープアシスト」や「レーンポジショニングアシスト」でやや制御が遅れるような部分が見られることがあり、それが少し気になった。やや下り坂のゆるい右カーブに差し掛かった時、レーンポジショニングアシストを利かせているにもかかわらず、やや内側へ寄り、白線を超えそうになり、レーンキープアシストが働いて、左側へステアリングを補舵するという場面に何度か遭遇した。このあたりも、もう少し熟成して、不自然感がなくなればうれしいと感じる。

モード切替スイッチも用意されており、特に「SPORT」モードにした際の瞬発力の良さ、加速力の強さは相当なものだった。動画をご覧いただければ、加速時に筆者の体がシート背面に押さえつけられるような動きを見てもらえれば、その勢いがお分かりいただけるだろう。

高速道路での乗り味は快適で、道路の継ぎ目を超えた際の乗り味は気持ちよく超えていく。

「ゼログラビティモード」という停車時に、リラックスできる体勢になるシートポジションにすることがこのクルマでもできるが、ボヤージュは運転席のみの設定である。オットマンも含めて、より快適さを求める方にはパッセンジャーにも用意されるラウンジ以上の方が嬉しいかもしれない。

リラックスコンフォートシートではドライバー席にもオットマンが用意される。ラウンジ以上のグレードには、パッセンジャー席にも装備される。※写真はラウンジAWD。

また、先進的な装備として「リモートパーキング」が装備されている。ドライバー席から降りた状態で、外から駐車をすることができるというシステムだ。実際に41:43あたりから実演しているので、こちらの映像もぜひご覧いただきたい。

ラウンジAWDとボヤージュの比較

ラウンジAWD:航続可能距離(満充電時)445km、66km走行時残り86%

満充電にした際の航続可能距離は456kmであった。ラウンジAWDよりも11kmほど多く表示されている。

66km走行した際、残りの電力量は88%だった。これもラウンジより2%程、減りが少なかった。

ボヤージュ:航続可能距離(満充電時)456km、66km走行時残り88%

数日乗って感心したのは、航続可能距離の数値が実際の値に近いというところだ。スタートして、ゴール地点に到着した際、走った距離数分、航続可能距離の数が減った印象だ。電気自動車の中には、走り方によって、航続可能距離がこまめに変わり、気持ち的にも落ち着かないようなシチュエーションに遭遇することがあるが、アイオニック5はそのあたりの安心感は強かった。特に、エアコンをつけた際にはどれくらいの距離になるという表示もあり、そのあたりのきめ細かさには感心させられる。

韓国からやってきた最新BEV。電気自動車としての魅力、クルマとして新しさを感じさせるのがとても魅力的に感じられた。

ゆったりとした後席空間が魅力。

今回のテストでは急速充電も試してみた。73%からスタートし、30分急速充電したところ、97%まで充電できていた。80%を超えると充電速度が遅くなると言われているが、アイオニック5ではそれほど速度の落ちを感じずに、充電されたことにも感心させられた。

ショッピングモールの急速充電器で充電テストを行った。

ショールーム一覧はこちら

HYUNDAI IONIQ 5 Voyage(ヒョンデ アイオニック5 ボヤージュ)主要スペック

<寸法・重量>
全長…4,635mm
全幅…1,890mm
全高…1,645mm
ホイールベース…3,000mm
車両重量…1,950kg

<原動機>
種類…交流同期電動機
最高出力…160kW(217PS)/4,400~9,000rpm
最大トルク…350Nm(35.7kgm)/0~4,200rpm

<駆動用バッテリー>
種類…リチウムイオン電池
総電圧…653V
総電力量…72.6kWh
交流電力量消費率(WLTCモード)…132Wh/km

<駆動方式・一充電走行距離>
駆動方式…後輪駆動(RWD)
一充電走行距離(WLTCモード)…618km

Writer

Gocar Gocar

Go!Carチャンネルのキャスター。2015年ホワイトハウス入社。2016年3月からGo!Carチャンネルをお送りしているが、免許取得後すぐ各種試乗インプレッションを行っており、これまでに試乗した車種は700車種を超える。毎週日曜日16:00からは「Go!Carライブ」をGo!Carチャンネルにてお送りしており、視聴者の皆さんとのふれあいを毎週楽しんで放送している。
また、2022年4月より、レディオキューブFM三重(78.9MHz)にて、「Ericar・Gocar Auto Ensemble♪」というラジオ番組のパーソナリティも務めている。

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