New!Car試乗記
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滑らかさに目から鱗のマイルドハイブリッド
ボルボは積極的に電動化を推進し、2030年にはEV専門メーカーになると発表しているが、まだ内燃機関を進化させたモデルとして「マイルドハイブリッド」モデルも充実している。グレード名にある「B」はマイルドハイブリッドモデルを示し、その後に続く数字はパワーの大きさを示している。以前は「T5」というガソリンターボエンジンがメインだったV60だが、マイルドハイブリッドでパワーも少し穏やかになった「B4」モデルが中心となった。
マイルドハイブリッドは2.0Lの直列4気筒ターボエンジンの最高出力は197PS、最大トルクは300Nm。それに最高出力10kW、最大トルク40Nmの電気モーターが組み合わされる。組み合わされるトランスミッションが7速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)である。
エンジン始動がやはりマイルドハイブリッドは滑らかだ。
走り始めると、いかにもボルボらしい「優しい」走り味を感じることができる。自動車を語るときによく「スポーティ」という言葉が登場するが、それとは真逆の印象の雰囲気を感じることができる。それが、ある意味今の時代「個性」といえるだろう。久しぶりにボルボのシートに着座したが、やはり気持ちよく座ることができる。なお、この試乗車にはシートヒーターのみならず、ベンチレーション、マッサージ機能も網羅されていた。マッサージ機能は初期のものから装備されてはいたが、どのような動作をするのかがわからなかった。しかし、Googleのシステムが投入されたモデルからはマッサージ機能の動きがアニメーションで表示されるようになった。
しかし、一方でやや強い加速をすると、マイルドハイブリッドの電気モーターもいい仕事をしているのだろう、滑らかに力強い加速感を得ることができる。
DCTで気になるのは、通常のトルクコンバーター方式のATほどの滑らかさを感じさせるものが少ないところである。もちろん改良されて、かなり良くなっているものが増えたが、しかしトルクコンバーターATとは違うつながり感を感じるケースが多い(ごく普通のユーザーはそこまで感じないかもしれないが…)。そこで、この新しいマイルドハイブリッドのDCTのフィーリングがどうなのか気になっていた。
実際に止まったり、発進したり、低速で走ったりなどを繰り返してみたが、これが大変よくできている。DCTとは思えない、トルクコンバーター方式のATの滑らかさに極めて近いもので、非常に良いフィーリングだった。これがまさに目から鱗である。
走ってみた印象は正に「いいクルマ」。登場から5年が登場して、見た目も大きく変わっていないため、期待感をそれほど持たずに試乗し始めたわけだが、実際に走ってみると見えない、中身が大変進化していて、驚かされた。
なお、このマイルドハイブリッドは一定条件化において、コースティング=惰性で走っている際にはエンジンをストップさせる場合もあるとのこと。より、効率を高めた走りをすることができる。
ボルボも含め、ヨーロッパの自動車メーカーのクルマは改良に改良を重ねた最終モデルの出来が大変よくなるというケースが非常に多い。今回のV60も最終モデルではないものの、5年間の時を経て、どんどん良くなり、魅力的なクルマに仕上がっていた。
ボルボ V60 アルティメット B4主要スペック
全長…4,780mm
全幅…1,850mm
全高…1,435mm
ホイールベース…2,870mm
車両重量…1,710kg
<エンジン・トランスミッション>
排気量…1,968cc
種類…水冷直列4気筒DOHC16バルブ(インタークーラー付ターボチャージャー)[ガソリン]+電気モーター
最高出力…145kW(197PS)/4,750~5,250rpm
最大トルク…300Nm(30.6kgm)/1,500~4,500rpm
使用燃料…無鉛プレミアムガソリン
トランスミッション…電子制御前進7速A/T (7G-DCT)ギアトロニック
<電気モーター>
種類…交流同期電動機
最高出力…10kW/3,000rpm
最大トルク…40Nm/2,250rpm
駆動用バッテリー…リチウムイオン電池
<駆動方式・燃費>
駆動方式…前輪駆動(FWD)
燃料消費率(国土交通省審査値)
・WLTCモード…15.4km/L
・市街地モード…10.8km/L
・郊外モード…16.1km/L
・高速道路モード…18.2km/L
Writer
Gocar Gocar
また、2022年4月より、レディオキューブFM三重(78.9MHz)にて、「Ericar・Gocar Auto Ensemble♪」というラジオ番組のパーソナリティも務めている。